ミンコタアイパイロット、ミンコタ部品販売の専門店EASTLAND MARINE Ltd.,Co.


ケーブルの圧着工具と切断工具


ここではミンコタの専門知識では無く、一般的な電工関連の初歩的な説明です。ミンコタトローリングモーター用の配線や、ボートの電装品の配線にて、圧着と切断は必須の作業です。当店には、写真以外の物も含めて10本以上の様々な用途、サイズ、油圧式、ギヤ式、ギヤ無の圧着工具が有ります。その中で、これから揃えて圧着に挑戦してみようと思うボートユーザーの皆様に、簡単な取り扱い方法と、お勧め出来る工具の紹介をさせて頂きます。必要に応じて適合した工具を揃えて、是非、正しい知識で、正しい圧着施工に挑戦してみて下さい。
 
注意事項 1)圧着施工した箇所には、防水熱圧縮チューブ等を使用し、海水、雨水、湿気による不足を防いで下さい。
2)ケーブル先端や圧着箇所には原則ハンダ付けを施工しないで下さい。
 

1.圧着工具の種類 

 

左から右へ
(1)リングスリーブ用(ミンコタ、ボートに不要、いわゆる電工ペンチ)
(2)〜(3)オープンバレル用(ギボシ/ファストン用)
(4)被覆付圧着端子用(ギヤ式/専用タイプ)
(5)〜(6)被覆付圧着端子用(ギヤ無し/万能タイプ)
(7)〜(8)裸圧着端子用(ギヤ有/専用タイプ)


 
1)『専用タイプ』と『万能タイプ』について

◆『専用タイプ』とは?
主にギヤ式((2)で後述)で、1つの形状の歯しか付いておらず、ケーブルカッター部分や、ストリッパー(被覆剥がし)の分を持っておりません。特定形状の圧着端子とケーブルを圧着する機能のみの工具を『専用タイプ』と呼びます。
 
◆『万能タイプ』とは?
主にギヤ無しで、圧着端子も2~3種類対応しており、その他、ケーブルカッター部分や、ストリッパー部分を持っており、ここでは『万能タイプ』と呼びます。
 
2)『電動ドリル式』『油圧式』『ギヤ式』『ギヤ無し』について
 
◆『電動ドリル式』とは?
形状が電動ドリルと同一形状しており、先端に専用の圧着機構を備えております。人差し指でトリガーを引く以外、全く人力を使わず充電バッテリーの力のみで圧着が可能です。100sqを超える様な極太ケーブルにも対応しておりますが、先端機構のアタッチメントのみでは(現在の所)販売されておらず、構造的にも一体型で価格は20万円程します。電気工事業者さんなどがよく使っているのを見ます。(当店では所有しておりません)
 
◆『油圧式』とは?
字の如く、油圧倍力装置とアームのテコの双方の力を利用して、人力で圧着する工具です。工具自体は最小で14〜22sq程度、最大で100sqを超えるなどの太軸用となる上、油圧機構部分を含めて、全般的に大型になります。当店では14sq、22sqのケーブル圧着の時のみ使用しております。キャンセルレバーやダイヤルが付いており、作業終了時や、油圧を逃がして圧着を中止する際に使用します。

◆『ギヤ式』とは?
アームのテコの力を利用する点では『ギヤ無し』タイプと同じですが、ギヤ内蔵により、締め付け方向にしか動かない機構を持った圧着工具です。JISで定める隙間迄締め込み圧着が終わると、レバーが自動開放されます。誰が施工しても、規格通りの幅に(圧力の違いでは無い)圧着出来る事が最大の利点です。途中でキャンセルするには、少しだけ締め付け方向(握る)へ動かしながら、キャンセルボタンや、内部のラチェット機構のカムを浮かせて、アームを戻します。規定の圧着幅が狂ってしまう為、必ず端子と工具の規定サイズが合致している必要が有ります。

◆『ギヤ無し』とは?
テコの力のみで締め込む、最も単純で一般的な工具です。一般的には万能式に多いタイプです。特殊な圧着端子の中には、工具が製造終了になっている物もある為、止むを得ず、類似した形状の物や異なるサイズの工具を使わざるを得ない場合にはギヤ無しを使用します。
 


2.圧着端子の種類(ボート配線関連のみ抜粋)

圧着端子の形状は無数にあります。端子だけ販売されていても、工具類は製造が終了している様な特殊形状の圧着端子も存在します。ここでは、ボートに限らず使用頻度が高い物のみを紹介します。
裸圧着端子 ボートの船内配線においてR型と呼ばれる裸丸型端子が使用されます。圧着工具を使用する際は、トルクが必要な形状の為、基本的には専用タイプのギヤ式、14sqを越える場合は油圧式がお勧めです。
オープンバレル ボートの船内配線においては、2sq位迄の配線に多用されているオープンバレル型の裸圧着端子(ファストン、ギボシなど)などが使用されております。圧着工具を使用する際は、2組ある爪のうち1本は被覆ごと圧着、もう1本は直接圧着します。弱い力でも圧着可能なので、通常はギヤ無し工具となります。
絶縁被覆付圧着端子 樹脂製の絶縁被覆付のR端子、平型端子、筒型スリーブなど、多くの絶縁被覆付圧着端子が存在します。圧着工具を使用する際は、トルクが必要な為、専用タイプのギヤ式をお勧めします。

 


3.端子形状別の圧着工具の使用法
 
圧着の基本は、端子形状に適合した工具を使用する事と、適合したサイズの工具を使用する事が最も重要です。また、いずれの場合も、端子にケーブル素線を通した際、先端を1mm程出して圧着します。ツライチになる様な配線カットはスッポ抜けの原因となります。また、工具によっては、端子との向きが指定される物が有りますので、注意して作業しましょう。

ここでは、ボートの配線で使用する3つの圧着端子に関して説明します。
 
1)裸圧着端子の工具と施工方法
 
R端子(写真右下)、筒側スリーブ(写真左下)などが代表的です。比較的圧着力の要る形状なので、規定幅迄確実に圧着出来るギヤ式がオススメです。

写真左)ロブスター社製/
専用タイプ/ギヤ式/裸圧着用圧着工具(1.25/2.0/5.5/8.0sq対応)
写真右)マーベル社製/専用タイプ/ギヤ式/裸圧着用圧着工/(5.5/8.0/14/22sq対応)


ギヤ式工具の多くは、端子の仮咥えが可能です。(R端子を咥えさせた例)
ケーブルを端子に差し込む前に、先に写真の様に工具にセットし、ギヤを1段効かせて咥えさせます。


素線先端は必ず1mm程飛び出す様な長さになる様に被覆を剥きます。
裸端子用工具の場合、工具側の突起部側が端子の腹側(写真上側)、工具が丸い形状側が外側(写真下側)向きとなります。



ギヤ式工具の場合、正しい向きで圧着すると、圧着後に端子の内径数値が刻印が打刻されます。
写真のR端子は、内径8mmなので、『8』と打刻されます。

 
2)被覆付圧着端子の工具と施工方法

被覆付端子には、様々なタイプがあるので、ボート内配線をやり直す際は、全て被覆付に統一してゆくのも良いですね。
写真左)マーベル社製万能タイプ/ギヤ無し/先端形状が被覆付圧着端子用(1.25/2.0/5.5sq対応)
写真右)
マーベル社製/専用タイプ/ギヤ式/被覆付圧着端子用圧着工具(1.25/2.0/5.5sq対応)



専用タイプのギヤ式です。先端の圧着刃の径が大小2枚になっているので、端子側の被覆形状を合わせた向きにセットします。


ギヤ式圧着工具の多くは、ギヤ1段目で端子を予めセット出来る様になっているので、まずは被覆と工具の形状の向きを合わせて咥えさせます。

被覆を剥く際は、先端1mmが端子の筒から飛び出す様にカットします。ツライチに合わせてカットしない様、注意して下さい。


ギヤ式工具は、適合した組み合わせで使用すると、写真の様に工具と端子の形状がピッタリ合致します。被覆付圧着端子の場合は、実際に圧着されているのは、被覆がくびれて部分(写真奥側)のみです。写真手前側は端子の金属部分は無いので、プラスチック被覆に刻印のみとなります。


実際に圧着端子の金属筒部分があるのでは、青丸印の被覆がくびれた部分のみであり、被覆径が太い部分の内部に金属部分は有りません。従って実際に圧着力が働いている箇所は青丸印部分のみとなります。

 
3)オープンバレル圧着端子の工具と施工方法

左右とも)マーベル社製/オープンバレル圧着端子用圧着工具/万能式/ギヤ無し(1.25/2.0/5.5sq対応)

この工具は、他の形状には非対応で、万能式といってもケーブルカッターとストリッパーを備えているのみです。


圧着の際は、端子の爪が出ている側を、工具のM型側に合わせます。


端子には、写真の通り2組の爪が有り、片方は被覆ごと圧着し、もう片方はケーブルへ爪が直接噛む様に圧着します。他の端子と同様、ケーブル素線は1mm程飛び出す様な長さになる様に被覆を剥きます。

 


4.適合圧着例
 
ボイジャーバッテリーの8mm端子に合わせて施工されたケーブルと端子の組み合わせ例です。

特に0.50/0.75/1.25sqなどの小径端子には、圧着するケーブルに許容範囲が設けてあり、範囲内であれば使用可能な物も有りますが、ミンコタモーターの様に5.5/8.0/14/22sqなどの太軸ケーブルを使用して、最大50Aを越える様な大電流で使用する場合は、原則、数値の合致したサイズで施工して下さい。

修理などでお預かりすると、残念ながらこの様なケースは本当に多く、また、防水対策が全くされていなかったり、通常のビニールテープや、防水ではないビニールカバーが装着されており、本当に驚きます。

◆不適切な事例 : 全ての組み合わせが合致しておりません。(ボイジャーバッテリー使用の場合)
 不適合理由1 : ケーブルが5.5sqなのに、R端子が8sq用。
 不適合理由2 : ボイジャーバッテリーの端子が8mmなのに、R端子が10mm用。
 

5.ケーブル切断工具(ケーブルカッター)
 
ペンチなどでも刃の部分で電線の切断は一応可能ですが、直線2枚刃で挟み込む形状の為、電線が逃げて切断面が潰れてしまいます。ケーブル切断専用工具を使用すると、綺麗な円形のまま切断する事が可能なので、圧着端子に挿入する際も綺麗に挿入が可能となります。当店では大中小と有ります、ケーブル径によって使い分けております。

中央の物でも商品表記上は『22sq迄切断可能』とありますが、やはり、太さに適した少し余裕有るサイズでの使用が使い易く、また、切断面も綺麗な仕上がりとなります。
 

6.これから圧着工具を揃える方へ当店推奨の2本!!!
 
自動車と比較すると、電装品を自分で艤装配線する場合が多かったり、又は、自分で出来た方が金銭的にも都合が良いかと思います。そして何より、実際にやってみると、楽しいので、是非チャレンジしてみて頂きたいです。

残念ながら、圧着工具が間違っていたり、圧着端子とケーブル径が合っていなかったり、適切で無い施工を良く目にします。是非、これを機会に、適切な知識を身に着けて、完璧な艤装配線にチャレンジしてみて下さい。

1)裸圧着端子用工具はズバリこれがオススメ!!!
 
マーベル(MARVEL) MH-141.25/2.0/5.5/8.0/14sq対応)【当店のオススメ!】
・マーベル(MARVEL) MH-22(5.5/8.0/14/22sq対応)

MH-14は、1本あればボート用の裸圧着端子は、ほぼ1本で対応可能の超オススメ工具です。その他、MH-8も有りますが、1.25/2.0/5.5/8.0sq対応と、全てMH-14に含まれる為、オススメからは除外しました。
2)被覆付圧着端子用工具はズバリこれがオススメ!!!
 
マーベル(MARVEL) MH-1551.25/2.0/5.5対応)【当店のオススメ!】
MH-155が有れば、ボートやミンコタに関わる被覆付圧着端子は、ほぼ1本で対応可能の超オススメ工具です。

当店にてケーブル御購入の場合、御指定の圧着端子施工と防水処理済でのお渡しが可能です。特に14sq、22sqケーブルの場合、めったに使用する物では無い為、当店へ御依頼頂ければ、油圧工具にて施工させて頂きますので、お申し付け下さい。持ち込みケーブルへの施工は受け付けておりません。


◆1箇所の施工料金
 ・〜8sq迄 300円(圧着端子代、防水別圧縮チューブ代、工賃を含む 
 ・14sq〜 400円(圧着端子代、防水別圧縮チューブ代、ビニール保護チューブ代、工賃を含む
 *14sq以上の場合、摩耗や接触による防水チューブ切れ防止の為、ビニール保護チューブが追加されます。

 


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