ミンコタアイパイロット、ミンコタ部品販売の専門店EASTLAND MARINE Ltd.,Co.

 

バッテリーの選択と充電に関して
 
ミンコタモーター用のバッテリーに関する説明です。
 
1.バッテリーの種類

◆マリン用ディープサイクルバッテリーを御用意下さい

ミンコタのモーターには、『ディープサイクル鉛バッテリー』をご用意下さい。自動車用の一般的なバッテリーは、高負荷×長時間の使用には適さず、低電圧によるトラブルの確率が高くなる上、バッテリーの寿命も著しく短くなります。必ずディープサイクルバッテリーをご用意下さい。

ボートのエンジン始動用メインバッテリー(クランキング用)との共用は出来ません。必ずミンコタ専用として別にご用意下さい。

当店では、昔からプレジャーボートやキャンピングカーの電源として定番のACデルコ製Voyagerバッテリーをお勧めしております。

◆リチウムイオンバッテリーに関して

近年では、持続力、長寿命、軽量と三拍子揃ったリチウムイオンバッテリー(コバルト系、マンガン系、酸化鉄系)が様々な用途で使用される様になりました。しかしながら、高回転使用時にコントロールボード破損の可能性がある旨がメーカーより報告されておりますので、原則リチウムイオンバッテリーは使用はしない様にお願い致します。(使用する場合、速力8.5以下に抑えて使用する必要有り)

詳しくは、ミンコタ社によるリチウムイオンバッテリーに関する記載のPower Outputの項目をご参照下さい。
*2022年10月にミンコタ社のバッテリー関連の説明が動画からWEBに変更されました。

速力8.5以下に抑える場合、スポットロックでは速力も自動制御となる為、現実的に監視し切れないと予測されます。(オートパイロットであれば速力は手動設定なので、8.5以下に設定しての使用は可能と思いますが)

また、MK-xDCシリーズ等のチャージャー類もリチウムイオンバッテリーには対応しておりません。

◆ディープサイクルバッテリーと一般自動車用バッテリーの違い

ディープサイクルバッテリーは、充電完了後、高めの電圧から徐々に低下しながらも、安定した断続的な電力供給を行う事が出来、且つ、充電、放電を繰り返し行えるという特性があります。とはいえ、放電状態、消耗状態で長時間放置すると寿命を著しく低下させますので、使用後は直ちに充電して下さい。同型バッテリーでの大きさの差は、アンペア数の違い、つまり単純に持続時間の差となります。

一般自動車用バッテリー(クランキングバッテリー)は、瞬間的な大電力発生に優れたバッテリーです。スターターモーター始動時の要求電力に耐えうる大きさのバッテリーを選択して使用します。原則、接続される電装品は、常時オルタネーターからの供給を前提としている為、エンジン停止状態で過放電させてしまうと、大きく劣化し、繰り返し充電、放電を繰り返す使い方には適しません。(ミンコタモーターの使用には適しません。ボートのメインバッテリーには使用可能です。)

2.バッテリーの容量と個数

メーカー推奨110A以上、サイズ27以上の為、出来る限り双方の数値を満たすバッテリーを選びましょう。VoyagerであればM31MF(115A)をお使い下さい

冬期の能力低下や、年数による使用時間短縮化(1年経過した頃から徐々に顕著化)、又はソーラー充電の場合、100%満充電は不可である事なども考慮し、ACデルコVoygerであれば、最大サイズのM31MFをお勧めしております。

バッテリーの個数は、
・12Vモデル(55ポンド迄)で1個
・24Vモデル(80ポンド迄)で2個
・36Vモデル(112ポンド迄)で3個
必要となります。

低電圧の3大症状「クルクル回って停止」「暴走して停止」「使用中に勝手に停止」が発生した場合は、何度も再トライせず、直ちに使用を中止して下さい。これらを防止する為には、エンジンのオルタネーター余力でミンコタ用バッテリーを充電するMK-xDCなどのサブバッテリーチャージャー(オルタネーターチャージャー)の導入をご検討下さい。

 
3.Voyagerを使用するメリット

万一の際も、入手し易く、安価なVoyagerバッテリーをお勧めします。

高額なリチウムイオンバッテリー等は、つい交換時期が遅く成り勝ちです。

異常や故障の疑いがある際に行う原因の切り分け作業の際、高額なバッテリーの場合、つい『高額だから』『勿体ない』との感情が芽生え、バッテリー交換という切り分け作業を後回しにしてしまい、結果、原因究明迄遠回りをしてしまう結果に陥り易くなります。

4.充電方法に関して

停泊中、陸揚げ保管中は、次回の出航&使用に備えて下記いずれかの方法で、ディープサイクルバッテリーを充電して下さい。尚、オルタネーター余剰電力のみでは、ディープサイクルバッテリーの場合、30-40%程度しか充電出来ない為、通年運用する事は出来ません。

・AC100Vのディープサイクル専用専用充電器による充電(100%に近い充電)
・ソーラーパネル充電と航行時オルタネーター余剰電力充電の併用(70〜90%の充電が可能)


ソーラーパネル充電の場合、12Vパネルですと、天候によって最大18〜20V出力となり、コントローラーによりある程度の電圧値で遮断は行いますが、これらが疑似可変電圧充電となり、満充電に近い充電が可能です。水槽の水の様にどれ位充電出来たかなんてわからないので、これを「概ね満タン」と考えて使用すれば、実用範囲での充電が可能です。(年に数回だけ専用充電器で満充電にする事で延命出来ればベストですね)

1)専用充電器

ディープサイクルバッテリーは、専用充電器(AC100V)以外では満充電に出来ません

ディープサイクルバッテリーは、専用充電器による電圧/電流可変制御により13V〜16Vの可変制御により満充電が可能となります。これらはソーラーパネルやオルタネーター余剰電力による充電では満たす事が出来ません。

ソーラーパネル充電とオルタネーターからの余剰電力充電を併用する場合、毎回の実用レベルを満たす充電は可能ですが、トラブル時(例えばソーラー充電不良)や、年に数回だけ専用充電器で100%充電する事をお勧めしている為、ディープサイクル専用AC100V充電器もご用意下さい。(ボイジャーの場合、ボイジャー専用充電器が必要です)

AC100Vの専用充電器のみで通年運用する場合、【使い切り充電】となる為、低電圧の3大症状「クルクル回って停止」「暴走して停止」「使用中に勝手に停止」が発生した場合、何度も再トライせず、直ちに使用を中止して下さい。

 
2)オルタネーター余剰電力を利用した充電

オルタネーター余剰電力を併用した充電は、低電圧による故障防止の為、非常に有効です

チャージャー稼動中は、バッテリーがオルタネーター出力に近い14V前後の電圧を維持可能となる為、低電圧防止には絶大な効果を発揮します。ミンコタ製チャージャーの場合、下記となります。


オルタネーター余力でサブバッテリーを充電するオルタネーターチャージャー

但し、アイドリング時のオルタネーター出力が小さい場合、航行中(ポイント移動中)しか充電出来ないエンジンも有りますが、これだけでも有りと無しでは使用可能時間に大きな差が出ます。

爆釣している時や、ゲストを乗せている時など、無理して長い時間ミンコタモーターを酷使してしまい低電圧症状が出ているにも関わらず、何度も再トライして破損させるケースは珍しく有りません。この様な状況に備える意味でも、オルタネーターチャージャーをお勧めします。

3)ソーラーパネルを使用した充電

ソーラーパネルとソーラー充電専用の制御器を使用すると、ディープサイクルバッテリーをミンコタモーターの実用範囲迄充電可能です。(満充電は出来ません)

一般的に通販等で市販されているソーラーパネルは、12V仕様の物の多くは、最大出力18V程有ります。これは天候によって変動します。一方ディープサイクルバッテリーの充電は、プログラム制御等により、13〜16V程の可変制御で充電が行われます。ソーラーパネルによる充電は、天候変動により、疑似的に電圧変動が起きる為、満充電では無いせよ、電圧の高低変動により、オルタネーターチャージャー充電以上に充電する事が可能です。

◆ソーラーパネルの仕様

安価で入手可能な12V100W(最大18V出力)の物をお勧めします

1枚で24V仕様なども市販されておりますが、W数が低い物が多く、また高額であるにも関わらず早ければ2-3年でパネル内浸水等で故障の可能性もある為、安価な12V仕様をお勧めします。

12V100W有ると、曇り続きでもほぼ1週間で満充電に近い充電が可能です。24Vの場合は、12V100Wパネルを2枚御用意下さい。ハードタイプ(外装がアルミ枠+ガラス製)とソフトタイプ(外装が樹脂素材)の物と有ります。

ハードタイプは、耐久性に優れますが重いので、頑丈なキャビン屋根やTトップなど取り付け場所を選びます。

ソフトタイプは、耐久性には劣りますが、軽量な為、取り付け場所の自由度が大きくなります。

いずれも『壊れたら交換』と考え、12V100Wで10,000-15,000円程度の物で十分です。

◆ソーラー充電専用制御器(コントローラー)

ソーラーパネル専用の制御器(12V、24V、36V対応品要確認)は必須です

この制御器により充電開始電圧と充電休止電圧の設定を行い、過充電や低電圧時間帯(夜間等)のシャットダウンを行います。

3,000-10,000円程度の物で十分です。こちらも『壊れたら交換』のつもりで御用意下さい。

◆ケーブル

ソーラーパネルは専用規格のケーブル、コネクタが用意されており、これらを利用するのが便利です

・ソーラーパネルと延長ケーブルの接続
・24Vの場合、又は36Vの場合の複数ソーラーパネル直列接続
以上2つの接続は、防水ワンタッチコネクタをそのまま使用するのが便利です。

制御器への接続は、被覆を剥いての配線直挿しとなります。

◆注意事項

盗難や悪戯でソーラー配線(2芯)をニッパー等で切断されますと、2本一緒に切断された切り口によってはショートし、バッテリースパーク、爆発、ボート火災や、ソーラーパネル破損、制御器破損を起こす可能性があります。ヒューズ等を装備し、安全対策を講じる必要が有ります。当店はソーラーパネル販売は行っておりません。取扱方法、安全対策等はソーラーパネル販売者へお問合せ下さい。

ソーラーパネルやミンコタ以外の電装品用に簡易タイプのブレーカーもご用意しております。

サーキットブレーカー 一般電装品用 
 
5.ディープサイクルバッテリーの寿命

ディープサイクルバッテリーは、概ね2年を過ぎたら交換をご検討下さい。

ディープサイクルバッテリーは、使用頻度や充放電状況によって寿命に大きく差が出ます。初めてミンコタモーターを導入されますと、丁度1年位経過した辺りで、『以前は1日使えたのに、2〜3時間で止まった』『最近、昼頃になると誤作動が発生する』などの変化が現れ易くなります。

これらはバッテリーの劣化が顕著になり始めた事に起因します。バッテリーのCCA値を計測するなどにより、劣化具合を計測する事も可能ですが、なかなかCCA測定器をお持ちの方は少ないですし、2年以上経過したバッテリーに不具合が発生しているにも関わらず『CCA値はまだ許容範囲内』などの理由によりバッテリーを『疑い無し』として切り分けしてしまうのは得策では有りません。(もちろん配線や本体の不具合も検査は必要ですが) 是非、トラブルフリー運用を目指し、2年を過ぎて、「使用時間が短くなった」「クルクル、暴走、勝手に停止」などの症状が出易くなった交換して下さい。最長でも3年以内とお考え下さい。

 
以上、バッテリーに関する説明でした。